テレアポ代行・アポ獲得の契約書

テレアポ代行の契約で最も多い争いは「そのアポは1件と数えるのか」です。定義と報酬の発生時点を一組で決めます。

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日程は決まったのに見込み客が現れなかった。そのアポに報酬が出るかどうかは、契約の定義の一文で決まります。

このページの要点

  • 有効なアポの要件(意思の表示、日時の確定、報告の受領など)を定義で書く。
  • キャンセル・日程変更・不成約・欠席のときに払うかどうかを決める。報告受領型か実施基準型かで有利・不利が変わる。
  • リストの適法な取得の確認、架電を断った相手の記録と再架電の禁止、報告の項目を受託者の義務にする。
  • リスト・架電の記録・トークスクリプトの帰属と、終了時の返還又は消去を決める。

結論:「有効なアポ」の定義と、報酬が発生する時点を一組で決める

テレアポ代行(電話やメールで見込み客に連絡し、商談の約束=アポイントを取る仕事)やアポ獲得の代行の契約で、最も多い争いは「そのアポは1件と数えるのか」です。日程が決まった時点で1件か、実際に商談が行われて1件か、委託者が「有効」と認めて初めて1件か。キャンセル、日程の変更、決裁者が出てこなかった場合、商談はしたが成約しなかった場合はどうか。事務所の書類を見比べると、この定義の置き方で、受託者に有利にも委託者に有利にもなります。

  1. 有効なアポの要件(何がそろえば1件か)を定義で書く。
  2. 報酬が発生する時点と、キャンセル・日程変更・不成約のときに払うかどうかを書く。
  3. リストの取得元、架電を断られたときの扱い、架電の記録と報告の内容を書く。
  4. リスト・記録・トークスクリプトが誰のものか、終了時にどうするかを書く。

このページでは、テレアポ会社の業務委託契約、通信回線の代理店が個人に架電を任せる契約、医療機関向けの営業を支援するマッチングの契約、商談のアポイントを売買するプラットフォームの規約などから、この4点を紹介します。個人宅に電話をかけて勧誘する場面の法律の整理は勧誘のルールと特定商取引法で、営業代行の全体は営業代行の契約書で扱います。

業務の段階と、各段階で守ること

BtoB(企業向け)のテレマーケティングを受けるテレアポ会社の業務委託契約(受託者の側の依頼)は、業務を4つの段階に分けて列挙しています。改訂では、それぞれの段階に受託者が守る事項を書き加えました。

テレマーケティングの4つの段階(受託者の側の契約)

  1. 1 ターゲットの選定営業の対象となる企業の条件を委託者からヒアリングする
  2. 2 リストの作成・購入リストが適法かつ正当な手段で取得されたものであることを確認し、更新の頻度と精度を管理する。個人情報保護法を守る
  3. 3 架電特定商取引法・消費者契約法・電気通信事業法等を守る。架電を断った企業・個人は直ちに記録し、再び架電しない。架電件数・コールの成功率・見込み客の反応・有益な情報を報告する
  4. 4 アポの設定・日程調整アポの報告に、見込み客の意向、興味・関心のある事項、これまでのやり取りを付ける

2段階目の「適法かつ正当な手段で取得されたリストであることの確認」と、3段階目の「断られたら記録して再び架電しない」は、苦情やトラブルの多い場面に対応した手当てです。報告の内容を列挙したのは、委託者が「どれだけ電話したのか分からない」と言う場面に備えるためで、件数だけでなく反応の内容まで報告すると、アポにならなかった月にも業務をしたことを示せます。

自治体向けの営業を支援する受託者の契約は、業務を数量で決めています。チラシの配布は月10自治体で、配布の方法や自治体の対応・反応の有無は受託者の裁量とし、「配布の事実をもって業務を遂行したものとみなす」と書きました。予算書のリスト化は公開情報に基づくので正確性を保証しない、入札案件の抽出は月に最大8回、仕様書は可能な限り取得し非公開なら提供の義務はない、という具合です。成果が相手方の判断で決まる営業の支援では、何をすれば業務を果たしたことになるかを、作業の単位で書いておくことが受託者の防御になります。

集客の手段にテレアポを加える場面もあります。給湯器などの訪問点検の営業を個人に任せる契約では、集客の手段を「インターネット広告、ダイレクトメール、その他」とした当初の案に、改訂で「テレフォンアポインター」を加えています。マーケティング施策の代行の利用規約には「インサイドセールスの立ち上げ/改善支援」が業務として列挙されていましたが、架電の代行やアポの定義を定めた条項はありませんでした。

有効なアポの定義:4つの型

事務所の書類に現れた有効なアポの定義は、次の4つの型に分けられます。

有効なアポの定義の型

報告受領型

受託者に有利

  • 見込み客が面談・商談に応じる意思を示し、具体的な日時が決まり、社名・担当者・日時・商談内容などを報告して委託者が受け取れば1件
  • 委託者や見込み客の都合による日程の変更・キャンセル、商談したが成約しなかった場合も支払う

委託者判定型

委託者に有利

  • 受託者が架電等で取得した機会のうち、委託者が意思確認をして有効と認めたもの
  • 委託者が審査をして「その裁量により有効と認めた場合に限り」成果とし、受託者は異議を述べない

実施基準型

実際に会ったら1件

  • 初回の面談が「予定どおり実施された」時点で報酬が発生
  • 日程の確定や通知だけでは発生しない

活動単位型

名刺・アポ・成約を別々に

  • 固定の月額+名刺交換1件ごと+有効アポ1件ごと+成約報酬
  • アポ報酬に週や同行訪問日あたりの件数の上限を置く

事務所の書類での改訂 報告受領型の定義を整えた例(テレアポ会社の契約)

アポの確定

改訂前当初の案:「アポイント取得を完了し通知した時点」で確定し、日程の変更・キャンセルを問わず支払義務を免れない、という定めだけ
改訂後改訂:「本アポイント」の要件を3つに定義(①架電により見込み客が面談・商談に応じる意思を示した ②日程の調整で具体的な日時が確定した ③社名・担当者名・日時・商談内容等を委託者に報告し、委託者が受け取った)。支払義務を免れない場合として、委託者又は見込み客の都合による日程変更・キャンセルと、商談したが成約に至らなかった場合を明記

「取得を完了」という言葉だけでは、何をもって完了かが争いになります。要件を3つに分け、最後を委託者の受領にしたことで、いつ1件になったかを記録で示せるようにしました。

委託者判定型は、通信回線の代理店が個人にトスアップ(見込み客の情報を取り次いで、契約の担当者に引き継ぐこと)を時給制で任せる契約で使われています。アポイントを「乙が架電等により取得した顧客との面談、商談その他これに準ずる機会であって、甲が意思確認を行い有効と認めたもの」と定義し、受託者は判定に異議を述べないとしました。この契約は時給制なので、アポの有効性は報酬の額ではなく、成績の評価と契約の継続の判断に使われます(成績不振を理由とする解除の条は外部パートナーとの契約で扱います)。成果報酬型で委託者判定型を使うと、受託者は委託者の判断ひとつで報酬を失うので、受託者の側では判定の基準と期限、理由の開示を求めることになります。

実施基準型は、ヘルスケア企業の医療機関向けの営業を支援するマッチングの利用契約で使われています。マッチングの対象の医療機関との初回の面談が予定どおり実施された時点で役務が完了し、報酬が発生します。施設の区分ごとに単価を決め、初期費用・月額が0円で調整料が高いプランと、月額があり調整料が半額程度のプランの2種類を用意しました。申込書の希望件数は目標値で、達成を保証しないとも書いています。面談が実施されて初めて報酬が出るので、キャンセルの扱いをめぐる争いは起きにくい一方、受託者は日程を決めた後の欠席のリスクを負います。この契約は、初回の商談へのオンラインでの同席は追加の費用なしとし、現地への同席は距離に応じた別紙の手数料に交通費などを加えて利用者の負担としました。営業の代行そのものは原則として対象外で、希望があれば個別の契約にします。アポの調整と商談の同席までを1件の単価に含め、それ以上の関与は別料金という線引きです。

活動単位型は、地盤調査・改良工事の営業を個人に任せる契約で見られます。固定の月額に、名刺交換1件ごと(同じ日に2件まで)、有効アポ1件ごと(週2件まで)、成約報酬を組み合わせ、別の受託者向けには固定の月額を外して、アポ報酬の上限を「事前に決めた見込客への同行訪問日に対し、月に1回あたり4件まで」としています。件数の上限は、報酬目当ての質の低いアポの量産を防ぐ手当てです。

報酬の組み立てと、請求・異議の手続

テレアポ会社の契約は、基本料金(月額固定。業務を遂行したかどうかを問わない)と成果報酬(アポ1件ごとの単価)の2階建てです。月末締め翌月末払いとし、改訂で「請求書受領後7日以内に文書・メールで異議を出さなければ請求額を承認したものとみなす」と加えました。アポの件数をめぐる争いを、請求の時点で区切るための一文です。基本料金があれば、アポが少ない月にもリストの作成や架電の作業の対価を受け取れます。

事務所の書類に現れたアポ獲得・営業支援の報酬の型
契約報酬の型成果の発生
BtoBテレマーケティング(受託者の側)月額の基本料金+アポ1件ごとの成果報酬報告を委託者が受け取った時点。日程変更・キャンセル・不成約でも支払
回線のトスアップ(委託者の側)時給制。稼働時間は自己申告と業務報告で確定し、過大な計上は支払を拒める成果は報酬の額に連動しない(有効性は委託者が判定)
医療機関向けのマッチング(提供者の側)区分ごとの調整料(月額0円型と月額あり型)+成約時のインセンティブ初回の面談の実施時
自治体向けの営業支援(受託者の側)定額プラン、又は月額(定額の半額)+成果報酬委託者が提供した入札情報又は配布したチラシを「契機として」自治体と契約したとき、受注金額(税抜)の15%

自治体向けの営業支援の成果報酬は、「契機として」という言葉で成果の帰属を決めています。何をもって契機とするかは解釈の余地が残るので、運用では、提供した入札情報や配布の記録を残しておくことが大切です。この契約では、成果報酬に別に消費税を加算することも改訂で明記しました。

アポの先の成約に報酬を付けるなら、成約を知る手段も必要です。医療機関向けのマッチングの契約は、面談の結果、成約(契約書の締結、発注書の提出、導入の意思の明示的な表示。メールを含む)に至った場合のインセンティブを定め、利用者が成約を故意に隠したり報告を怠ったり虚偽の報告をしたりしたときは、即時の解除、インセンティブの支払に加えて違約金を請求できるとしました。成約は委託者の側でしか分からない事実なので、報告の義務と、その違反の効果を一組で置いています。

テレアポ会社の契約は、期間と再委託の条も受託者の事情に合わせて組み立てています。期間は6か月で、6か月単位の自動更新(満了の1か月前までに通知)とし、改訂で、条件の変更を望む場合は満了の1か月前までに通知して協議し、合意できなければ従前の条件で更新すること、自動更新が続いても最長5年で更新の可否を協議することを加えました。再委託は事前の書面又は電磁的方法による承諾制です。架電の人員を外部に頼る場面があるなら、承諾の手続を事前に決めておかないと、繁忙期に動けなくなります。

アポを「供給する」側の契約もあります。出張買取の業務提携で、本部が加盟者にアポを供給する契約では、アポの代金を1件ごとの定額とし、加盟者の報酬やロイヤリティの計算で売上の総額から差し引く形でした。アポの代金を変更する手続は、版によって「本部の判断」「協議と書面の合意」と揺れ、最終的に本部の判断に戻っています。アポを買う側から見ると、品質の基準と、キャンセルや不在で使えなかったアポの扱いを決めておかないと、代金だけを払い続ける形になり得ます。

リスト・架電の記録・個人情報

テレアポの契約では、リストと記録の帰属も決めます。テレアポ会社の契約の改訂では、成果物に営業リスト・架電結果の記録・報告書・トークスクリプトを明記して委託者に帰属させ、無断の利用には違約金を定め、終了後は返還又は完全に消去するとしました。秘密保持の期間は終了後1年から3年に延ばしています。その後、業務委託契約と秘密保持契約を一つに綴じた版では、秘密保持契約の側で、暗号化しないままでの保存やUSBメモリ・クラウドへの保存の制限、消去の証明書の提出まで定めました。リストは個人情報を含むことが多く、受託者の手元にどう残すかまで決めておく必要があります。

通信回線のトスアップの契約は、個人情報について、目的外の利用と第三者への提供の禁止、事故の時の報告、取扱いの状況の報告、終了時の返還又は復元できない方法での削除と完了の報告を定めています。費用の分担も細かく、架電の電話通信費は委託者、その他の機材や通信の環境は受託者の負担としました。

テレアポの契約で、リストと個人情報について決めること

  • リストを誰が用意するか(委託者の提供か、受託者の作成・購入か)。受託者が用意するなら、適法な取得の確認と、更新・精度の管理を受託者の義務にする。
  • 架電を断られた相手を記録し、再び架電しない。
  • 架電件数・反応・有益な情報など、報告の項目と頻度。
  • リスト・架電の記録・報告書・トークスクリプトの帰属と、終了時の返還又は消去、消去の報告。
  • 個人情報の目的外利用・第三者提供の禁止、漏えい時の報告、保存の方法の制限。
  • 電話の通信費や機材の費用の負担。

なお、架電の録音を定めた例は、事務所の書類にはありませんでした。オンラインの商談を録画する場合の同意と保存の期間は、クロージングを任せる契約の例を営業代行の契約書で紹介しています。

アポを売買するプラットフォームの規約

商談のアポイントを売買するプラットフォームでは、アポが使えなかったときの返金のルールが規約の中心になります。この運営者の利用規約は、版を重ねる中でキャンセルと返金の条を組み替えました。

事務所の書類での改訂 キャンセル・返金の条の組替え(アポ売買の利用規約)

返金の義務者と時期

改訂前改訂前の版:販売者が商談を設定できない、又は合理的な理由なく拒否した場合は、販売者が全額を返金する(10日以内に振込み)。購入者の都合のキャンセル・延期は返金しない
改訂後改訂後の版:販売者の返金義務の定めを削り、日程の調整の前はキャンセルでき、72時間調整がなければ自動でキャンセルして全額を返金する。日程の調整が完了した後は、どのような理由でもキャンセル・返金はできない

返金の判断の基準を、日程の調整の前か後かという、記録で確かめられる事実に置き換えました。

購入後の手続

改訂前改訂前の版:定めなし
改訂後改訂後の版:購入者はアポの購入後に必ず1社以上を発注先として選定し、運営者に通達する。発注先が選定されていないことを運営者が確認した場合は全額を返金する

アポを買った後の行動を購入者に義務づけ、その確認と返金を結び付けています。

この規約は、商談後に得た情報を使って運営者の承認なく直接取引し、運営者の関与を避けることを禁じ、改訂で、商談の期間中に連絡先(メール・電話・SNS)を直接交換することも禁じました。発注先として正式に選定された後に、運営者の定める方法で交換できるとしています。また、損害が生じてから30日以内に書面で通知しないと賠償の請求権を失う、という期限も置いています。

同じ運営者が提供するアポ獲得の代行の契約では、改訂で、アポの取得の手段を運営者のマーケットプレイスでの代理購入に限り、フォーム営業やテレアポなどの手段は使わないと明記し、代理購入に事前の承諾は要らず、運営者がペルソナ(想定する顧客の像)に合う企業のアポを選んで購入すると定めました。取得の手段を限っておくと、架電や営業メールの規制の問題を代行の側で抱えない構成になります。この契約が置いた売上の保証と比例返金は成果を保証しない書き方で紹介しています。

起きがちなことと、契約書での備え

テレアポで取ったアポの先には、商談とクロージングがあります。営業代行の契約書と勧誘のルールと特定商取引法もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

「有効アポ」はどう定義すればよいですか?

見込み客が商談に応じる意思を示したこと、具体的な日時が決まったこと、所定の事項を報告して委託者が受け取ったことなど、要件を分けて書きます。実際に面談が行われた時点で1件とする型や、委託者が有効と認めたものに限る型もあり、どれを選ぶかで有利・不利が変わります。

アポがキャンセルされたら、報酬はどうなりますか?

契約の定義しだいです。報告を受け取った時点で確定する型では、委託者や見込み客の都合によるキャンセルでも支払うと定めた例があります。面談の実施時に発生する型では、キャンセルされれば報酬は発生しません。

営業リストを代行会社が用意するとき、何に注意すればよいですか?

リストが適法かつ正当な手段で取得されたものであることの確認、更新と精度の管理、個人情報保護法の遵守を受託者の義務にします。架電を断った相手を記録して再び架電しないことも書きます。

架電の結果は、どこまで報告してもらうべきですか?

架電件数、つながった割合、見込み客の反応、有益な情報などを報告の項目として定めた例があります。アポの報告には、見込み客の意向や関心のある事項を付けると、商談の準備にも使えます。

アポを売買するサービスの規約で気をつけることは?

アポが使えなかったときの返金の基準を、日程の調整の前か後かなど、記録で確かめられる事実で決めます。商談期間中の連絡先の直接交換の禁止や、損害の通知の期限も規約に置かれています。

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