広告掲載契約書と掲載基準の作り方(媒体を運営する側)

広告枠を売る側の契約で決めるのは、何をいつ載せ、載せてはいけないものをどう断り、途中で終わったらどう精算するかです。

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料金表が契約書の外にあると、広告主が営業で聞いた金額と違うと言い出したとき、契約書だけでは枠の対価を説明できません。

このページの要点

  • 掲載料と制作費を区分し、料金表を契約書の一部として結びつける。金額・期間の空欄を残さず、税別か税込かと振込手数料の負担も書く。
  • 掲載基準を文書にして、審査で断る・修正や差替えを求める権利と手続を置く。審査は法令適合の保証ではなく、広告の内容の責任は広告主にあると明記する。
  • 原稿の交付の期限と掲載見本の承諾を決め、承諾の前に掲載に着手しない。放映できなかった分の振替・減額と、途中終了時の履行割合による精算も書く。
  • 期間の自動延長は通知の期限と方法を決め、広告の内容に起因する第三者からの請求は、広告主の対応・補償と媒体の停止権を組み合わせて書く。

結論:枠を売る側の契約は「何を、いつ、どの条件で載せ、載せなかったらどうするか」を決める

広告運用代行や集客支援の契約書は、ほとんどが広告を出す側(広告主)と、その運用を請け負う側の関係を書いています。ところが広告には、もう一人の当事者がいます。広告を載せる枠を持つ媒体の運営者です。印刷物の媒体、店舗に置いた画面、物品の表面、会員向けのウェブサービス。形はさまざまですが、媒体を運営する側が広告主と結ぶ契約は、運用代行の契約とは問うべきことが違います。運用代行の契約は「結果を保証せず、どこまで手を動かすか」が中心ですが、媒体の契約は「約束した枠を約束した条件で提供し、載せてはいけないものを載せない」ことが中心になります。

  1. 掲載料と制作費を分け、料金表と支払の条件を契約書に結びつける。
  2. 載せられない広告の基準(掲載基準)と、審査で断る・差し替えを求める権利を決める。
  3. 原稿の交付の期限と、掲載の見本を承諾するまで掲載に着手しない流れを決める。
  4. 掲載期間・放映の回数、途中で終わったときの精算、広告主への履行状況と効果のデータの報告を決める。
  5. 期間の自動延長の手続と、広告の内容に起因して第三者から請求を受けたときの負担を決める。

このページは、媒体側の掲載契約(印刷物や物品の表面を広告面とする媒体、情報媒体への広告掲載の委託、店舗に設置した画面の動画広告など)を想定して、媒体を運営する側が契約書と掲載基準で何を書いておくかを一般論として整理します。広告主と運用代行者の関係は、契約の型と業務範囲や広告表示の責任分担のページをご覧ください。

掲載料・制作費・料金表:お金の定めを契約書と切り離さない

媒体の契約で最初に決めるのは、広告主が何に対して幾ら払うのかの区分です。枠を提供する対価(掲載料)と、広告原稿や動画を作る対価(制作費)は別の費用で、片方だけが契約になることもあります。広告主が自分で作った原稿を入稿するなら制作費は発生せず、媒体の側で制作まで受けるなら、制作は枠の提供とは別の仕事(原稿が仕様どおりにできるかが問われる仕事)になります。民法では、仕事の完成を約束するのが請負(632条)、事務の処理を任せるのが準委任(656条)で、報酬の払い方と責任の重さが違います。掲載は、枠を提供して表示するという事務の面が強く、原稿の制作は完成を目的とする仕事の面が強いため、一つの契約の中で性質が分かれ得ることを意識して書き分けます。

媒体側の契約で区分しておく費用
費用性質契約書で決めておくこと
掲載料枠の提供と表示の対価媒体・枠・サイズ・期間・回数ごとの金額。税別か税込か。料金表を別紙にするか本文に差し込むか
制作費原稿・動画・写真などの作成の対価媒体が作る場合の仕様、修正の回数、完成の確認の方法。広告主が作る場合は入稿の規格
オプション特別な位置、追加の掲載、効果の報告などどの範囲が基本料金に含まれ、どこから追加になるか
振込手数料支払の実費広告主が負担するのか、差し引いて入金されるのか

金額の具体は契約ごとに異なります。ここでは「何を区分するか」を示しています。

広告掲載の契約では、掲載料の金額や期間が契約書の本文から読み取れない状態になっていることがあります。そのような場合は、料金表を契約書の一部として結びつけ、契約期間の空欄を補って、期間も特定します。金額や期間は、契約書の本文でも別紙でもよいのですが、「契約書の一部として扱う」と書き、本文と別紙で食い違うときのどちらを優先するかを決めておくことが重要です。口頭や営業のメールで告げられた料金は契約書の外にあるため、後から広告主が「聞いていた金額と違う」と主張する余地を残します。

支払の条件では、振込手数料の負担、支払期日、期日までに入金がないときの掲載の停止を書きます。広告主が掲載料を払わないまま掲載が続くと、媒体側は枠を無償で貸し続けることになります。支払の遅れが生じたら掲載を一時停止できること、停止の期間は掲載期間を延長しないことまで書いておくと、枠が空いたまま回収も止まる事態を防げます。運用代行の側の支払遅延時の配信停止は契約期間と中途解約で扱っていますが、媒体側の停止は、広告主の側の事業にも直結するため、通知の方法と猶予の期間を丁寧に書きます。

掲載基準と審査:断る権利を、基準と手続でセットにする

媒体の契約で最も大切なのは、掲載基準です。広告主から原稿が届いても、媒体として載せられないものがあります。法令に違反するおそれのある表現、他社や個人の権利を侵害するもの、媒体の品位や利用者の信頼を損なうもの、競合する広告などです。媒体の契約では、掲載基準を定め、基準に合わない広告を審査の段階で断ることができる旨を書いておきます。この「断る権利」は、基準が具体的でないと、恣意的な拒否とも見え、断る理由を説明できずに広告主との関係が悪くなります。

条文例掲載基準と審査(媒体側の契約の考え方)

  1. 甲(媒体運営者)は、乙(広告主)の広告が別に定める掲載基準に適合するかを審査する。乙は、審査のために必要な原稿、根拠資料及び広告の対象となる商品又は役務に関する資料を、甲の求めに応じて提出する。
  2. 甲は、広告が掲載基準に適合しないと判断したときは、その理由を示して、掲載を断り、又は原稿の修正若しくは差替えを求めることができる。
  3. 乙が前項の修正又は差替えに応じないとき、甲は掲載をしないことができる。この場合、甲は、掲載をしなかったことについて責任を負わない。支払済みの掲載料の取扱いは、第○条による。
  4. 掲載後に広告が掲載基準に適合しなくなったとき、又は広告の内容について第三者から申出があったときは、甲は、乙に通知のうえ、掲載を停止することができる。緊急の必要があるときは、事前の通知なく停止できる。
  5. 甲による審査及び掲載の承諾は、広告の内容が法令に適合することを甲が保証するものではない。広告の内容に関する責任は乙が負う。

掲載基準は別紙又はウェブサイト上の文書に切り出し、変更の手続(事前の通知、変更後の既存の契約への適用の有無)を決めておくと運用しやすくなります。

この条文で見落としやすいのは、最後の項です。媒体が審査をすると、広告主は「媒体が見て載せたのだから、問題はない」と受け取りがちです。しかし、審査はあくまで媒体の基準に照らした確認で、広告の内容が法令に合っていることまでは保証しません。この点を契約で明示しておかないと、広告に問題が生じたときに、広告主から審査を行った媒体の責任を問われやすくなります。逆に、媒体が「審査しない」と書いてしまうと、表示の問題に気づいても止めないことが前提となり、苦情を受けたときに媒体としての対応を説明しづらくなる場面があります。審査をしたうえで責任は広告主に置く、という二段構えが基本です。

広告の運用を代行する側の契約でも、媒体の審査は関わります。受注者が入稿した広告が媒体の掲載基準に抵触して不承認となっても責任を負わない旨は、成果を保証しない書き方で扱っています。媒体の側から見ると、同じ審査が、広告主と運用代行者の関係を超えて、媒体自身の信用に直結します。媒体が載せた広告で利用者が被害を受けたら、媒体の運営者としての評価が下がるからです。

掲載基準で定めておくことが多い事項の例

内容の面

載せられない表現

  • 法令に違反するおそれのある表現(効果の断定、根拠のない比較など)
  • 他者の権利(著作権、商標、肖像など)を侵すもの
  • 誤解を招く表現、事実と異なる表現

対象の面

載せられない商品・役務

  • 法令上、広告が制限される商品・役務
  • 媒体の利用者層になじまないもの
  • 競合する媒体・サービスの広告

形式の面

入稿の規格

  • サイズ、ファイル形式、文字数、放映の秒数
  • 連絡先・運営者の名称の表示
  • 広告であることが分かる表示

原稿の交付と掲載見本の承諾:承諾の前に載せない

掲載の前に、原稿を受け取り、見本を作り、広告主が承諾する手順を決めます。原稿の交付の期限と、掲載の見本を承諾する手続を決め、承諾を得る前には掲載に着手しない流れを置きます。この順序を書くか書かないかで、トラブルのときに押さえられる事実が変わります。

掲載までの流れ(媒体側の契約の組み立て)

  1. 申込み媒体・枠・期間・料金を確定し、契約書又は申込書で合意する
  2. 原稿の交付広告主が期限までに原稿と根拠資料を交付する
  3. 審査媒体が掲載基準に照らして確認し、修正や差替えを求める
  4. 見本の承諾広告主が掲載見本を確認し、承諾する。承諾前は掲載しない
  5. 掲載承諾した内容で表示し、掲載の記録を残す

期限までに原稿が届かなかったときは、枠を空けたまま掲載料を請求するのか、掲載の開始を遅らせて期間を短くするのかを決めます。

原稿の交付が遅れた場合の扱いは、書いておきたい事項です。広告主が期限を過ぎて原稿を渡したとき、媒体が約束した掲載の開始日を守れないのは広告主の事情です。このときに、掲載期間の終了日を動かさないのか、掲載の期間の短縮に応じて掲載料を減らすのか、一切減らさないのかで、広告主の負担が変わります。媒体は枠を確保して他の広告主に売らずにいたはずなので、通常は「掲載料は減額しない」を基本とし、期限の延長を一度は認める、という落としどころが考えられます。

見本の承諾は、掲載後の苦情を防ぐ有力な方法です。広告主が見本を承諾した後に、色や文言、レイアウトの不満が出ても、承諾した内容どおりに掲載した限り、媒体は責任を負わない、と書きます。ただし、承諾を求める側(媒体)が、承諾を得るための期間を設け、期間内に応答がないときの扱い(承諾とみなすのか、再度の確認を行うのか)を決めておかなければなりません。みなし承諾は便利ですが、広告主にとって不利な内容に働く条項なので、応答の期限を十分に取り、リマインドの連絡を入れる運用と組み合わせます。

ウェブサービス上に広告や提携先への誘導の導線を設置する契約では、掲載の内容や表示方法を別紙の仕様書に定め、広告の素材や表示を変更するときは、事前に確認できる環境、確認用のURL、画面の写しなどの合理的な方法で相手方に共有する、という定めを置くことが考えられます。印刷物や画面を使う媒体と違い、ウェブの表示は更新が容易で、承諾したものと違う表示にいつでも変えられます。変更の都度の承諾の手続を決めておくことが、掲載の内容を安定させます。

掲載期間・放映の回数・途中終了:履行の割合で精算し、状況を報告する

媒体の契約には、掲載期間や放映回数という数量の約束があります。期間を約束するなら、起算日と終了日を日付で特定し、空欄のままにしません。回数を約束するなら、1日あたりの放映の回数、時間帯、画面の台数のような、数え方の前提も定めます。画面で動画広告を流す契約などでは、放映の条件と、広告主に対する効果測定のデータの報告を書いておきます。画面の故障、店舗の休業、設置先の都合で放映できなかった日が生じるのは避けられません。放映できなかった分を、振替で放映するのか、掲載料を減額するのか、不可抗力として責任を負わないのかを決めます。

放映できなかったときの扱いの例
原因考えられる取扱い書き方の要点
媒体側の機器の故障・設置先の休業振替の放映、又は割合に応じた減額一定の割合や日数までは通常の範囲として扱うか、一定を超えたときに減額するかを決める
広告主の原稿の遅れ・不備掲載料は減額しない。期間は延長しない広告主の責めに帰すべき事由があるときの掲載料の扱いを書く
天災・法令の改正・通信障害不可抗力として双方責任を負わない不可抗力が続いたときの解除の手続(通知、期間)を決める
媒体の運営の終了・設置先の撤去未履行分の返金残りの期間の割合で返す。通知の期限を決める

途中で契約が終わったとき、掲載料をどう精算するかは、準委任か請負かで法律上の出発点が違います。準委任で、委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できます(民法648条3項)。請負で仕事の完成前に契約が解除されたときは、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付で注文者が利益を受けるなら、その部分を仕事の完成とみなして、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できます(同法634条)。掲載の契約でこの考えを使うなら、「履行した期間(回数)の割合に応じて掲載料を精算する」と契約に書くのが分かりやすく、掲載料を前払いで受け取っている場合は、未履行の割合分を返還する、と書き添えます。

中途解約の自由度も決めます。委任は各当事者がいつでも解除でき、相手方に不利な時期の解除などの場合には損害を賠償します(同法651条)。掲載のように、媒体が枠を確保して広告主のために空けておく契約で、広告主がいつでも自由に解約できるなら、媒体は空いた枠を売り直せないまま損をします。そのため、解約の申出の期限(掲載の何日前まで)、解約を認める時期の制限、すでに確保した枠の費用の負担などを書きます。違約金を置くなら、損害賠償額の予定と推定されることを前提に(同法420条3項)、実際の損害の見込みから離れた過大な額にならないようにします。契約期間と解約金の考え方は契約期間と中途解約に詳しく書いています。

広告主への報告:履行状況と効果のデータ

媒体の側は、掲載したことを示す記録を残し、広告主に報告します。委任の事務を処理している受任者は、委任者の請求があるときはいつでも処理の状況を報告し、終了後は遅滞なくその経過と結果を報告しなければなりません(民法645条)。掲載が準委任に近い性質を持つなら、この報告の義務は契約がなくても生じ得るものです。契約には、報告の内容(掲載の日時・回数・場所)、時期(月ごと、終了後)、方法(書面、電子メール、管理画面)を書きます。

画面で流す動画広告などでは、効果測定のデータを報告する媒体もあります。データが何を示すのか(放映の回数か、視聴の可能性か、実際の来店や購入か)を書かずに「効果を報告する」とだけ書くと、広告主は成果の証拠が出ると受け取ります。媒体の側が保証できるのは、放映の記録や、通行・来場の人数の推計といった測定の範囲にとどまります。報告するデータの種類、測定の方法、誤差があり得ること、データが売上や来店の増加を保証しないこと(成果を保証しない書き方と同じ考え方)を明記します。

期間の自動延長と、広告の内容に起因する第三者からの請求

掲載の契約は、一度申し込めば同じ条件で続けたいという広告主が多く、媒体の側も自動的に延長される方が事務の負担が少なくなります。媒体側の契約では、期間の自動延長を定めることがあります。自動延長を置くなら、延長されなくするための通知の期限(期間満了の何日前まで)と、通知の方法を書きます。広告主が延長を知らないまま次の期間の掲載料を請求されると、紛争になります。更新の前に媒体から広告主へ更新の案内を送る運用をとり、案内の送付を契約で義務づけるのが望ましい形です。延長のときに料金を改定するなら、改定の通知と、改定に応じない広告主が更新を拒否できる期間も決めます。

もう一つの論点は、広告の内容に起因する第三者からの請求です。広告に使った写真の著作権者、広告に写った人、広告で比較された他の事業者、広告を見て購入した消費者などが、広告主だけでなく、広告を掲載した媒体にも責任を求めてくることがあります。媒体が不当な広告を知りながら載せ続けたと見られると、媒体も責任を問われ得ます。契約では、広告の内容(原稿、素材、表示された情報)に関する責任は広告主が負い、広告の内容に起因して第三者から請求や苦情を受けたときは、広告主が自己の費用と責任で対応し、媒体に損害が生じたときは補償する、と書きます。

条文例広告の内容に起因する第三者からの請求(媒体側の契約の考え方)

  1. 乙は、広告の内容及び乙が提供した素材が、第三者の権利を侵害せず、法令に違反しないことを保証する。
  2. 広告の内容に関して第三者から甲に対し請求、苦情又は申出があったときは、甲は速やかに乙に通知し、乙は、自己の費用と責任でこれを解決する。
  3. 前項により甲に損害(弁護士費用等の合理的な費用を含む。)が生じたときは、乙は、これを賠償する。ただし、甲の故意又は重過失によるときは、この限りでない。
  4. 甲は、第三者からの請求を受けた場合において、広告の掲載を一時停止し、又は取りやめることができる。この場合の掲載料の取扱いは、第○条による。

広告主が個人や小規模な事業者の場合、補償の実効性が乏しいことがあります。補償の範囲と、媒体としての掲載の停止権をセットで書きます。

ここでも、「広告主が補償するから、媒体は何も確認しなくてよい」とはなりません。補償は損害が出てからの回復で、広告の掲載が続く間に起きる被害を止める力はありません。掲載基準の審査、苦情の受付、掲載の停止の権利という、事前と事後の手段を組み合わせて書きます。ウェブサービスに広告を載せる提携の契約では、たとえば、法令や公序良俗に違反するおそれがあると合理的に判断される場合や、相手方の信用を著しく損なうおそれがある場合に、事前の協議なしに掲載を一時的に停止でき、停止した当事者は速やかに理由とともに通知する、という二段構えの停止の定めを置くことが考えられます。停止の権利を媒体の運営者が持つ以上、乱用を防ぐために、通知と協議の手続を書いておくのが公平です。

媒体の種類と、広告に関わる規制の見方

最後に、媒体側から見たときの法律の位置づけを整理します。ここで先に確認しておくべきなのは、「何を根拠に、誰に、どの規制がかかるか」です。

景品表示法:表示の主体は、商品・役務を供給する事業者

景品表示法の不当な表示の禁止は、事業者が「自己の供給する商品又は役務の取引」について行う表示を対象にしています(同法5条、2条4項)。条文の文言では、広告を載せる枠を提供する媒体は、載せられる広告の商品・役務を自ら供給しているわけではありません。媒体を営む事業者が、自社の媒体を使った広告の中身に直ちにこの規制の責任を負うかどうかは、媒体がその広告の内容の決定にどう関与したかによって見方が変わり得るため、本ページでは媒体の位置づけを断定しません。契約の上では、広告の内容に関する責任を広告主に置き、媒体が内容の決定に深く関わる(原稿の制作まで受ける)場合は、その部分の責任を別に整理しておくのが安全です。

他の広告規制:名宛人が広く書かれたものがある

広告に関する規制の中には、薬機法や健康増進法、医療法のように、規制の名宛人を広く定めたものがあります。これらは、広告主に限らず媒体にも関わり得る規制として、広告表示の責任分担で整理しています。医療、化粧品、健康食品、金融などの規制の強い分野の広告を扱う媒体は、掲載基準にその分野の扱い(掲載を断る、根拠資料を求める、表現を制限する)を明記しておきます。

屋外広告物:条例の確認

看板、立看板、はり紙、広告塔、広告板、建物その他の工作物に掲出され、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものなどは、屋外広告物法の「屋外広告物」に当たり得ます(同法2条1項)。同法は、都道府県が条例で、良好な景観又は風致を維持するために必要があるときに一定の地域・場所での広告物の表示や掲出物件の設置を禁止でき(3条)、良好な景観の形成や公衆への危害を防止するために必要があるときに、表示や設置を知事の許可にかけるなどの制限ができる(4条)、と定めています。具体的な禁止の地域や許可の基準は、条例ごとに異なります。屋外に広告面を設ける媒体を運営する場合は、設置する場所を管轄する自治体の条例を確認し、許可の取得や表示の期間、掲出物件の維持・撤去の責任を、契約で媒体と広告主のどちらが負うかを決めます。本ページでは、どの自治体の条例についても、具体的な内容には触れていません。

確認の問いと理由媒体の運営者が広告掲載契約を作るときの問い

  1. 広告の枠は、何を何回、いつからいつまで提供する約束ですか。

    期間と回数の数え方、枠の位置や大きさを日付や数字で書きます。空欄を残すと、約束した枠が読み取れません。

  2. 原稿は誰が作り、誰が承諾しますか。

    広告主が作るなら入稿の規格と期限を、媒体が作るなら制作の仕様と修正の回数を書き、見本の承諾の前に掲載しない流れを置きます。

  3. 載せない広告の基準は、文書になっていますか。

    基準が口頭やその場の判断だと、断る理由を説明できません。別紙又は規約の形に切り出し、変更の手続を決めます。

  4. 途中で終わったとき、お金はどう精算しますか。

    履行した期間・回数の割合で精算する、前払いの掲載料の返還の範囲、広告主側の事情による場合は返さない、といった区分を決めます。

  5. 広告の内容で第三者から苦情が来たとき、誰が何をしますか。

    広告主への通知、広告主の対応の義務、媒体の停止権、補償の範囲を決めます。

起きがちなことと、契約書での備え

媒体側の広告掲載契約に入れる事項の確認

  • 掲載料と制作費を区分し、料金表を契約書の一部として結びつけたか
  • 税別か税込か、振込手数料の負担、支払期日、未払時の掲載の停止を書いたか
  • 掲載基準を文書にし、審査で断る・修正や差替えを求める権利と手続を書いたか
  • 審査が法令適合を保証するものではないこと、広告の内容の責任が広告主にあることを書いたか
  • 原稿の交付の期限、見本の承諾、承諾前に掲載しないこと、遅れたときの扱いを書いたか
  • 掲載の期間・回数を日付と数字で特定し、放映できなかった場合の扱いを書いたか
  • 途中終了時の精算(履行の割合)と、前払金の返還の範囲を書いたか
  • 履行状況と効果のデータの報告の内容・時期・方法と、データが成果の保証でないことを書いたか
  • 期間の自動延長の通知の期限と方法、料金改定の手続を書いたか
  • 第三者からの請求への対応と補償、媒体の停止権を書いたか

媒体の契約書は、広告主が最初に目にする「約束の一覧」です。枠の内容、基準、手順、お金の精算、責任の分担を、読めば分かる形にしておくことが、掲載後のやり取りを減らします。広告主と運用代行者の間の契約は広告アカウントの名義と引継ぎや報酬・手数料の決め方で扱っています。

よくあるご質問

媒体を運営する側の広告掲載契約では、何を最初に決めますか?

掲載料と制作費の区分、料金表の契約書への結びつけ、支払の条件です。料金表を契約書の一部として差し込み、契約期間の空欄を残さず、金額と期間が契約書から読み取れる状態にするのが出発点です。

掲載基準に合わない広告を断るには、何を書けばよいですか?

基準を文書にして別紙又は規約に切り出し、審査で断る・修正や差替えを求める権利、理由を示す手続、掲載後の停止の権利を書きます。審査は法令適合の保証ではなく、広告の内容の責任は広告主にあることも明記します。

原稿や掲載見本は、いつ承諾を得ればよいですか?

原稿の交付の期限を決め、見本を作ったら広告主の承諾を得てから掲載に着手する流れにし、承諾を得る前に掲載に着手しない旨を定めます。応答がないときの扱いは、期限と再確認の手順とあわせて決めます。

途中で契約が終わったとき、掲載料はどう精算しますか?

掲載した期間・回数の割合で精算するのが分かりやすい書き方です。準委任なら履行の割合に応じて報酬を請求でき(民法648条3項)、請負なら可分な部分の給付による利益の割合に応じて請求できます(同法634条)。前払いの掲載料は、未履行の割合分を返す旨を書きます。

媒体は、広告に問題があったとき景品表示法の責任を負いますか?

景品表示法の不当表示の規制は、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示を対象にしています(5条、2条4項)。媒体の位置づけは、広告の内容の決定への関わり方によって見方が変わり得るため、断定できません。契約では、内容の責任を広告主に置き、審査・停止の権利・補償を組み合わせます。

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本ページは一般的な情報提供です。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 表示対策(消費者庁) / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)

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